さかき脳外科通信

早慶戦を見て

6月12日には早稲田大学対慶応大学の試合が鴨池であり私はマッチドクターを担当させて頂きました。招待試合でしたので選手のモチベーションはどうだろうと心配していましたが公式戦同様の白熱した試合となりました。関東大学ラグビー対抗戦では毎年11月23日の勤労感謝の日に早慶戦は組まれています。まさに伝統の一戦です。試合の前日にはタックルバッグに相手チームのジャージ(ラグビーではウェアのことをジャージと呼びます。)をつけてタックルすることもあるそうです。たとえ招待試合でもそのジャージを見ると本気モードに自然になるところがあったのではないかと思います。私がやってきたような学生ラグビー、社会人ラグビーでもそういうライバルチームはありました。医学部ラグビー部の時には九州山口大会で優勝を争っていた熊本大学、社会人ラグビーで長く所属していた黒茶花クラブの時にはいつも負けていたサンデークラブや甲南クラブのジャージを見ると気持ちが高ぶってきたのを覚えています。
人には闘争本能というのが潜在的に誰にもあるのですがラグビーはそれを自然に発散させてくれるスポーツだと思います。球技であれほど体をぶつけ合うスポーツは他にありません。ルールは結構複雑ですが闘争本能の赴くままに体を動かせるスポーツです。特に私がやっていたロックというポジションはどのポジションよりも体を張ることを要求されるところでした。しかしルールを守りながら「闘争」するのですから「大人」にならないといけません。フランスの有名なラグビー選手
ジャン・ピエール・リブが「ラグビーは少年を一番早く大人にし. 大人に永遠に少年の魂を抱かせてくれる。」 「ラグビーから学んだ事は、人を征服することより. 人と共に生きることだ。」 と言っています。私にとってラグビーは青年期のありあまる闘争本能とうまく付き合いそれを生きるエネルギーに昇華させるスキルを身につけさせてくれるスポーツでした。