さかき脳外科通信

ラグビー日本代表の歴史的勝利について。

おはようございます。
皆様ご存知の通りラグビー日本代表が英国で開催中のワールドカップで南アフリカに勝ちました。
過去のワールドカップで最も勝率の高いチームに最も勝率の低いチームが勝ったのです。
メディアでは「最大の番狂わせ」と言われています。
過去の戦績から考えるとそう見えるかもしれませんがラグビーでは実力の弱いチームが強いチームに勝つことはまずありません。五郎丸選手も言っていますが「奇跡」は起こらないのです。
日本が南アフリカより強かったから勝ったと思います。
ではなぜ4年間で日本は強くなったのでしょうか。
過去のワールドカップでもどうしたら勝てるかをその時点の日本代表のヘッドコーチ(以下HC)は考え準備して望んでいたはずです。
エディージョーンズHCの4年間は過去のHCの時と比べ何が違ったのでしょうか。

私は二つあると思います。
一つは練習量の多さです。
ジョーンズHCは「南アフリカやオーストラリアの選手には耐えられない練習をしてきた」と言っています。
世界一多い日本の高校ラグビー部の練習量を知って日本人なら耐えられると思ったそうです。今回ほどの時間、代表が集まって練習をしたことはないそうです。
ジョーンズHCは練習に召集するために所属チームに頭を下げて回りました。
そういう練習をしてきたから体格が劣っていても走る量で相手を上回り低いタックルをしてはすぐに立ち上がりまた次のタックルに入るというプレイを続けられたのだと思います。
アタックの場面でもフィトネスがあるのでしっかりした形でコンタクトできてハンドリングエラー(この試合で2回しかありませんでした)も少なかったのではないかと思います。
二つ目は「南アフリカに勝つ」と全員に信じさせたということです。
ジョーンズHCは
「南アフリカに勝つ」ことを目標に掲げ考えられる準備を全てしてきました。毎朝起きると南アフリカ戦のことを考えていたそうです。スコットランド、サモア、アメリカに勝つことで勝ち点をあげるのではなく勝つ可能性の非常に低い南アフリカ戦に勝つことを第一目標に掲げたのです。見方によると無謀とも言える方法かもしれません。しかしそうすることで選手たちのモチベーションを最高のレベルに引き上げられたのではないかと思います。「南アフリカには負けても仕方ない」とは考えさせなかったのです。
4年前のワールドカップの際に私はこのブログで日本代表のメンバー選考に苦言を呈しました。
勝つ可能性の少ないニュージーランドとの試合では主力を温存し勝つ可能性の高いトンガ戦に主力を投入したのです。結果的にはトンガ戦にも敗れてしまいましたが。
これは想像ですが前回もジョーンズHCが日本代表を率いていたら「ニュージーランドに勝つ」ために準備したのではないかと思います。
もちろん練習量に裏打ちされたメンタルなのですがいつも「南アフリカに勝つために」と言われ血のにじむような練習に耐えてきた選手たちだからこそ最後まで
「勝てる」と心から信じられたのだと思います。
終了間際のペナルティでキックの同点でなくスクラムを選んたことを勇気ある選択と称えられていますが選手たちにとってはもしかしたら当然の選択だったのかもしれません。

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